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REJOICER

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PROFILE

Rejoicer / Energy Dreams リジョイサーことユヴィ(ユヴァル)・ハヴキンは、ロンドン
生まれのテルアヴィヴ育ち。彼の地でビート・ミュージックとジャズの新たな潮流を作り
出したレーベル、Raw Tapesの設立者の一人であり、レーベルを代表するグループ、バタ
ーリング・トリオのメンバーでもある。去年(2017年)、日本でもバターリング・トリオ
のアルバム『Threesome』が紹介され、来日も果たした。ライヴは東京で一回のみだった
が、素晴らしいステージでオーディエンスの反応も上々だった。キーボードのユヴィと、
シンガーでサックスも吹くケレン・ダン、それにベースのベノ・ヘンドラーの3人だけで
、とても豊かな演奏を繰り広げてみせた。ネオ・ソウルから中東の民俗音楽までをスムー
ズに繋げて、モダンなフォームでアウトプットしていくバターリング・トリオは、ワール
ド・ミュージックの範疇で紹介されることが多いイスラエルの音楽にはなかったタイプだ
。 それは、ユヴィたちがベルリンで暮らしたり、あるいはLAにも頻繁に出向いたり、欧
米のシーンとも元々繋がりが深かったことにも拠っている。特にリジョイサーは、フリ
ー・ザ・ロボッツやマインドデザインらLAのビートメイカーと制作をしたり、そのLAには
テルアヴィヴから移住し、Stones Throwからもリリースのあるコーエンビーツことマイケ
ル・コーエンもいる。僕はテルアヴィヴを訪れたことはないが、ユヴィによれば、気候が
温暖でレイドバックした空気があってLAに近い雰囲気があるのだという(しかし、一方で
シリアスな政治状況と隣り合わせではあり、そうした現実はバターリング・トリオの音楽
の背景にも時折顔をもたげる)。とはいえ、ユヴィたちは欧米ばかりを向いているわけで
はなく、中東の民俗音楽も掘り下げている。 ユヴィとRaw Tapesのコミュニティからは
、現在NYのジャズ・シーンの最前線で活躍するピアニストのニタイ・ハーシュコヴィッツ
を筆頭に、ドラマーのアヴィヴ・コーエン(またの名をソル・モンク)やアミール・ブレ
スラー、トランペッターのセフィ・ジスリングといったミュージシャンも輩出している。
リジョイサーと彼らはタイム・グルーヴ(Time Grove)というプロジェクト/コレクティ
ヴを結成して、ジャズとエレクトロニックなサウンドやビートとのフリーフォームなセッ
ションをおこない、間もなくファースト・アルバムをリリース予定だ。 ユヴィ自身はビ
ート・メイキングを得意とするプロデューサーだが、タイム・グルーヴに参加する大半の
ミュージシャンと同じく、テルマ・イェリン芸術学校(Thelma Yellin High School of the
Arts)の出身だ。イギリスとイスラエルで活動していた有名な女性チェロ奏者の名を冠し
たこの学校からは、ジャズを中心に多くの有能なミュージシャンを輩出していることで知
られる。そして、ユヴィの曾祖母がテルマ・イェリンその人で、彼は音楽一家で育ち、弟
のノモック(Nomok)もマルチ奏者でプロデューサーでもある。こうしたバックボーンは
、この十年来注目されてきたイスラエルのジャズだけではなく、Raw Tapesのような音楽
の誕生にも関係しているのが、イスラエルの特徴と言えるかもしれない。 ユヴィは、リ
ジョイサーとしてのソロ・デビュー作『Recollection』を2013年にRaw Tapesからリリー
スしている。このアルバムで僕も彼の音源に初めて接したが、ヒップホップ・ベースのセ
ンスの良いビートと、オリエンタル・スケールが時折絡んだりして、ビートだけではなく
メロディにも光るものを感じた。ユヴィは他にグアダループ(Guadaloop)名義でもリリ
ースを重ねている。ユヴィ自身によれば、グアダループの方がよりサンプリング・ベース
のヒップホップ系のサウンドで、リジョイサーはアブストラクトなサウンドを基調にして
いるのだそうだ。リジョイサーとしては、『Recollection』以来となるアルバムが
、Stones Throwからリリースされる本作『Energy Dreams』である。実は昨年の春にユヴ
ィにインタビューした際に、このアルバムの制作が終わったばかりだという話を訊いた。
その時はまだStones Throwからリリースされることは話していなかった。リリースに至っ
た詳しい経緯は不明だが、これまでのユヴィの活動とこのアルバムの内容を知れば
、Stones Throwからのリリースはとても自然なことに感じられる。『Energy Dreams』は
、ユヴィがバターリング・トリオやRaw Tapesで形にしてきたものを、もう一度リジョイ

サーというフィルターを通して構築し直したようなアルバムだと言えるのではなかろうか
。彼が作り出してきた音楽、あるいはプロデュースを手がけてきた音楽のエッセンスが本
作には詰まっている。 アルバムは、リジョイサーらしいアブストラクトなサウンドの
“Cloud of Me”からスタートする。この曲は途中から表情を変えて、ベースやキーボードが
奏でるメロディが鮮やかに彩っていく。以後の展開も、浮遊感のあるビートを基調にしな
がらも、ベースやギター、キーボード/シンセ、パーカションなどが有機的に絡みながら
進行していく。『Recollection』でもビートと共にメロディラインも印象的だったが、それ
よりも随分色彩が豊かになり、構成も凝っている。電子音やノイズの使い方も絶妙だ。4
曲目の“Yesterday's Forest Magic”は、長年テルアヴィヴのジャズとファンク・シーンで活
躍をしているトップクラスのトランペッター、セフィ・ジスリングをフィーチャーしてい
る。彼も昨年、リジョイサーのプロデュースでソロ・アルバム『Beyond The Things I
Know』をリリースしたが、その世界に通じる楽曲だ。 続く“Purple T-Shirts”はマインド
デザインとの楽曲。Stones Throwからアルバム『Happysad』をリリースしたピアニスト
でビートメイカーでもあるキーファーがマインドデザインにピアノを教えたという話があ
るが、現在のLAでのビート・シーンとジャズとの結び付きの延長に、この楽曲もあるよう
に感じられる。それは9曲目“Lucid Intent”にも表れている。ニタイ・ハーシュコヴィッツ
のピアノをフィーチャーしたこの曲はこのアルバムのハイライトの一つであり、ユヴィが
ミュージシャンとやってきたことは、LAで起きていることとパラレルに進行していると改
めて思わせる。ニタイは、現在のイスラエル・ジャズの立役者であるベーシストのアヴィ
シャイ・コーエンのバンドで注目を集めて以来、ジャズ・ピアニストとしての評価を年々
高めているが、ユヴィは常に彼の音作りに関わっていて、最新のピアノ・ソロ作『New
Place Always』もリジョイサーがプロデューサーに名を連ねている。純然たるアコーステ
ィック・ピアノのソロだが、ユヴィはマイクを8本も立てて録音し、録音後のテクスチャ
ーにも拘った、ピュアなジャズからは出てこないサウンドに仕上げていた。そうしたサウ
ンドへの拘りが、本作『Energy Dreams』でも貫かれている。 アルバムのアートワーク
は、奇妙な夢の風景を描いたもので、長年Raw Tapesのアートワークを手がけてきたデザ
イナーで画家のガイ・ギルクシュテインの手によるものだ。それはユヴィの頭の中にある
コズミックな音楽の世界を描き出してもいる。今後リリースされるであろうタイム・グル
ーヴ、それにバターリング・トリオの新作でも、ユヴィの描くサウンドスケープを楽しめ
るはずだ。間違いなく彼は才能ある音楽家でプロデューサーだ。もし、『Energy
Dreams』を気に入ったならば、ぜひユヴィの音楽をさらに追ってみてほしい。原 雅明

REJOICER's Schedule

2019.02

10.Sun

Rejoicer

Stones Throw Presents “REJOICER” Japan Tour in Kobe

23:00 START

Mail Reseve ¥2000(w/1D)Door ¥3000(w/1D)Under23 ¥1500(w/1D)

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